迷宮百年の睡魔 | |||
森博嗣 | 新潮社 | 512項 | 2003年 6月 |
首なし殺人事件のミステリ的な真相は、「自分の脳に同居する別人格の別肉体による、自分の肉体破壊」。 もはや殺人でも自殺でもありません。 このジャンルはミステリじゃなくSFなんじゃ? という瑣末な疑問は吹飛ぶほどの発想です。 人間のクローン化、ヒューマノイド、人口知能などの未来設定を超えた前作の‘脳と肉体の分離’。 そして今作では、人口生命、人間には複数の人格が存在する、という発想をさらに発展させ、一つの脳に複数の肉体を与えるというとんでもない思考を生み出しています。 ‘人間’の基本条件を考えさせられる作品でした。 そしてもう一つ忘れてはならないポイントが、そう、女王メグツシュカです。 彼女の正体は? ミチルとの対話「私の望みは…」「あなたに、生きていてほしい」と、名前の母音が同じ点から、確信はありませんが、メグツシュカ=真賀田四季でしょう。 さらに気になる点は、メグツシュカは純粋な意味での人間なのか? デボウ・スホはコールドスリープで長寿を保っている事になっていますが、果たしてメグツシュカも同じなのか? ミチルの「女王様は、生きていますか?」との問いに、「私が、ここにいると思う?私が生きていると思う?」「言わないで…、ミチル」と答えていることや、実年齢100歳以上のその姿がミチルより多少上程度であることから、当然ボディはオリジナルではないでしょう。 しかし、それだけなのか、ボディのクローン化や機械化だけでなく、もしかして、脳も…。 メグツシュカ自身が「メモリも、分解能も、処理速度も、既に技術水準はそれを達成しています。あなたの言うとおり、頭脳も機械で代用できるでしょう」と言っているのですから。 <名言、名場面> ●「科学的に説明できないものは実在しません。今は不思議でも、いずれは明らかになります。不思議とはつまり、将来の理解への予感ですね」 ●「願うという行為は、何かが必要だと信じることです」 ●ミチル「生きているのと、そうでないのと、両者の違いはどこにありますか?」 メグツシュカ「あなたが生きていれば、あなた以外の誰かが、あなたに会いたいと思う。他人に、そう思わせるキーワードが、生きているということかしら」 |
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